2012年7月13日金曜日

早期大腸がんを発見する新手法

1滴の血液から早期の大腸がんをも発見する新手法が開発された。

大腸がんは食事の欧米化などが原因で増加傾向であり、国内では年間約4万5千人(2010年)が死亡。肺がん、胃がんに続いて、日本人のがんによる死因の3位となっている。

しかし、早期の大腸がんは治療できる可能性が高いものの自覚症状が無く、既存の検査法では便を採取して血液の有無を調べたり、がんが出す血中のタンパク質を調べたりしていたが、いずれもがん発見の精度は低いものだった。

新開発された新手法では、「メタボロミクス」と呼ばれる代謝物質の解析法によって、大腸がん患者の血液中に多いアスパラギン酸など4種類を数式化して判定する。従来の方法では診断が難しかった早期の大腸がんでも見分けられるため、大腸がんの早期発見早期治療が実現できる可能性が高い。

検証実験では、大腸がん患者60人と健康な60人とを比べ、アミノ酸の一種「アスパラギン酸」など4種類の物質について、いずれもがん患者の方が平均2~3倍多いことを発見した。

さらに、別の大腸がん患者と健康な人のそれぞれ約60人で検証すると、従来のがん指標となるタンパク質では早期がんの1割程度しか診断できなかったが、4種類の物質を使った診断法では8割以上が診断できたのだ。非常に高い検査精度だと言える。

今後は発見された4種類の物資を使ってさらに簡単に診断できる機器の製造・実用化が予定されており、その後には、胃がんや膵臓がんなどの早期診断法の開発が期待されている。

神戸大大学院医学研究科のグループが開発に成功し米科学誌プロスワンに発表した。