2012年7月31日火曜日

抗がん剤再活性化が可能となる発見から新薬

効果が薄くなったり、効かなくなった抗がん剤や抗生物質などの再活性化が可能となる発見がなされた。

土中の微生物が生成する抗生物質「ストレプトスリシン」のメカニズムを解明したことで、この仕組みを応用し、抗生物質の効能を保持しつつ人体などへの毒性を緩和するアミノ酸化合物(ペプチド)の合成に成功したのだ。

現在、約2万種類の抗生物質や抗がん剤、免疫抑制剤が生産されているが、実用化されているものはわずか1%。残りの99%は毒性が強いなどの理由で、実用化されていない。

合成に成功したペプチドは、「病原菌に付着し易く、細胞膜を透過し易い」という特徴がある。この性質を利用して、効かなくなった抗がん剤に酵素を用いてペプチドを付加することで、再活性化を図ることも可能となるのだ。

さらに、今回発見されたペプチドを既存の抗生物質に付加することで、 新薬の発見につながり、抗がん剤の新薬開発にも貢献する見込み。

解明したのは、福井県立大の研究チーム。研究論文は、科学誌「Nature Chemical Biology」に掲載された。