2012年7月10日火曜日

3分の1にがん増殖を抑える新薬へ

がん増殖を促す たんぱく質が特定・発見された。

発見された たんぱく質は「NRF2」。そもそもNRF2は、細胞をストレスから守る働きをするたんぱく質だが、がん細胞の中では 糖やアミノ酸の代謝を変化させることで、がん細胞の増殖を促していることが判明したのだ。

東北大学大学院医学系研究科のグループが、肺がん細胞内のDNAを解析することで、判明した。その結果、NRF2が糖類のグルコースやアミノ酸の一種であるグルタミンの代謝に影響を与え、代謝の過程を変化させることで、がん細胞を増殖させることが実証されたのだ。

さらに、がん細胞をマウスに注射した実験では、NRF2を減らす試薬を投与したマウスは、 NRF2減の試薬を投与しないマウスよりも がん細胞の増大が3分の1程度に抑制された。

以前から、NRF2が抗がん剤や放射線照射への抵抗性を持ちがん細胞の防御力を高めてしまうことは既知だったが、今回の研究で、NRF2が がん細胞の増殖自体に関連していることが確認された。

この発見により、がん細胞の増殖や悪性化の一因となる代謝の仕組みが解明され、新がん治療法、新薬の開発が進むものと期待されている。さらに、がん治療にとどまらず、NRF2を活性化させることで再生医療への応用も模索されている。

研究は米医学誌キャンサー・セルに発表された。