2012年6月12日火曜日

肺がん新薬の適性で9割以上が がん縮小

肺がん治療の新薬は「ザーコリ(一般名クリゾチニブ)」を、効果の高い患者だけに投与するための新しい検査手法が開発された。

「非小細胞肺がん」の患者のうち、ALK融合遺伝子があるのは約3%。新薬ザーコリはこのALK遺伝子を持つ肺がん患者には著しい効果を示すが、ALK融合遺伝子の無い患者には効果が無い。

ALK遺伝子を持つ肺がん患者ならザーコリによる治療で9割以上でがん(腫瘍)が縮小するが、 ALK遺伝子の無い肺がん患者には、間質性肺炎や吐き気などの副作用で負担が増えるだけなのだ。従い、治療前に抗がん剤の適合性、つまりは「標的=ALK遺伝子」の有無を調べる正確な診断が必要となっていた。

しかし、従来の検査法はがん細胞の塊(組織)が必要で、腫瘍の位置が分かりにくい肺がん患者の検査は難しかった。

新診断法は細胞だけで確実にALK遺伝子の有無が検査できるため、効果の有る肺がんだけを治療対象に限定できる。効果の無い肺がん患者に無駄な治療をすることが回避できるのだ。

治療効果が見込まれる患者を選んで薬を投与する治療を『オーダーメード医療』と呼ぶ。不要な副作用に苦しむことなく治療効果の高い抗がん剤だけでがんが治せる時代を迎えつつある。