2012年4月18日水曜日

がん細胞破壊する光治療法の費用低減技術

レーザー光線を利用してがん細胞を効果的に破壊できる「光治療法」が開発中だ。

光治療法は、がん細胞が熱に弱く42.5度で死滅する点を利用し、光を浴びると熱を発する物質(光増感剤)を患部に注射した後、レーザーを照射してがん細胞を死滅させる。患部のがん細胞だけを破壊するため、従来の抗がん剤に比べ副作用が少ないのが特徴だ。

しかし、従来の光増感剤が水に溶け難いために人体に吸収効率が悪く、治療効果が落ちる一方で、水に溶け易くすると光増感剤が高価になってしまう問題があった。

そこで、亜鉛フタロシアニンの光増感剤が、太さ数十ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の極細ナノ構造に改良された。

このナノワイヤーは水に溶け易く、人体への吸収率も良好で、光を浴びて発熱する性質も保持していた。さらに、マウス実験でも、がん細胞の除去に成功したとされている。

新光増感剤は、低価格で商用化されればさらに価格が下がるとされ、 がんの光治療法の進展が期待されている。

新光増感剤の研究報告、科学誌『ネイチャー』発行の『NPGアジアマテリアルズ』に掲載された。