2012年6月8日金曜日

肺がん,腎臓がん,皮膚がん に効く新薬

がん患者の免疫機能を強化してがんを治療するタイプの抗がん剤新薬 2種の臨床試験が成功を収めた。

一般的な治療法では効果が無かった非小細胞肺がん、メラノーマ(悪性黒色腫)、腎臓がん患者の4人に1人にがん治療で大幅ながん患部の縮小が確認された。

2種の抗がん剤は米国の薬品大手ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol-Myers Squibb)が開発中の新薬。これらの抗がん剤新薬は、がん細胞を直接攻撃するのではなく、がん患者の体を蝕むがん細胞の保護膜を破壊し、免疫系の働きを助ける効能によってがんを治療する作用があるという。

新薬は、免疫細胞の表面に存在するタンパク質PD-1の結合を阻害する「BMS-936558」 (抗PD-1抗体)、がん細胞の表面に存在するタンパク質PD-L1の結合を阻害する「BMS-936559」(抗PD-L1抗体)。

「BMS-936558」の治験は、207人を対象に行われた。結果として、非小細胞肺がん患者10%、皮膚がん(メラノーマ)患者17%、腎臓がん患者12%に新薬の治療効果が確認された。

「BMS-936559」の治験は、296人を対象に行われた。治験結果では、非小細胞肺がん患者18%、皮膚がん(メラノーマ)患者28%、腎臓がん患者27%の腫瘍が著しく縮小した。さらに被験者の5~9%に6か月以上の病状安定がみられたという。

しかし、今回の治験では被験者の14%に深刻な毒性の副作用が確認され、うち3 人が肺炎で死亡した。また、副作用として大腸炎や甲状腺異常が確認されたほか、疲労感や肌のかゆみ、発疹といった症状を訴える患者もいた。

「PD-1とPD-L1が、がん治療における重要なターゲット」だということは強く示されたが、今後は、2つの治療薬について大規模な臨床実験へと開発が進められる予定。

2012年6月7日木曜日

青魚の油と肝臓がん

青魚やウナギが肝臓がんリスクを4割も低下させることが判った。

1995年から最長2008年まで岩手など9府県の45~74歳の男女約9万人を、追跡調査した国立がん研究センターが発表した。

多くの肝臓がんはB型もしくはC型の肝炎ウイルスの感染が原因で慢性肝炎を発症し、その後に肝臓がんへ悪化する。しかし、魚の油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸を多く取っている人ほど肝臓リスクが低下することが判明した。魚の油に含まれているDHAなどの不飽和脂肪酸の抗炎症作用が、肝炎が肝臓がんに移行するのを抑えていると推察された。

結論として、青魚やウナギなどをよく食べる人は、あまり食べない人に比べて肝臓がんになるリスクが約4割低下できるとされた。

2012年6月6日水曜日

転移乳がんの検査が容易に

抗がん剤の効果の有無を投与前に簡単に目視できる新検査法が開発された。新検査法では、転移がんの発見も容易になる。

新検査法を開発したのは、国立がん研究センターと理化学研究所のグループで、まずは乳がんを対象にした実験で成功を収めた。

新しい検査法は、がん細胞だけを狙う抗がん剤に、特殊な放射性物質を組み合わせて微量投与し、PET(陽電子放射断層撮影)で撮影し、画像を観察する。画像上では がん細胞が放射性物質によって緑色に光るので容易にがん細胞が確認できるのだ。がん細胞が光るために転移したがんも容易に確認できる。

従来の検査では、がん細胞を体内から針で採取する必要があり、がん患者の負担も大きかったが、新検査法では苦痛も大幅に軽減され、転移がんまで視認できる。

今回の実験では、一部の乳がん患者に対して著効を示す抗がん剤「トラスツズマブ」が狙う細胞の可視化で成功した。

トラスツズマブは乳がん治療に用いられる特定抗がん剤だが、新手法によってがん患者へのトラスツズマブの効果効能を投与前に事前把握でき、乳がんの転移も確認できたのだ。

最近の抗がん剤新薬は投与開始前に、患者のがんタイプに対して薬の有効性を検査するために、体に針を刺してがん細胞を採取した検査が不可欠だった。今後は他の抗がん剤でも効用研究が進められる予定で、転移がんも含め、がん患者の体を傷つけずに適切な治療薬を選べるようになる。

乳がん転移を撮影できる新技術

抗がん剤の有効性を投与前に容易に画像で可視化できる新技術が開発された。新検査法を用いれば、転移がんの発見は容易になる。

がんの新検査法を開発したのは、国立がん研究センターと理化学研究所のグループ。

新しい検査法では、 がん細胞だけを狙う抗がん剤に、特殊な放射性物質を組み合わせて微量投与し、PET(陽電子放射断層撮影)で撮影する。すると、がん細胞が放射性物質で緑色に光ることで容易に確認できるのだ。さらには、転移したがんまで、体内にあるがんが画像として可視化できる。

従来の検査は、がん細胞の一部を採取する必要があり、患者の負担が大きかったが、新検査法では負担が大幅に軽減され、かつ転移がんまで視認できる。

今回の実験では、一部の乳がん患者に対して著効を示す抗がん剤「トラスツズマブ」が狙う細胞の可視化に成功した。

トラスツズマブは乳がん治療に用いられる特定抗がん剤で、新手法によってがん患者へのトラスツズマブの効果効能を事前把握でき、乳がんの転移も確認できた。

近年の多くの抗がん剤は使用する際に、患者のがんタイプに対して薬の有効性を検査するために、体に針を刺してがん細胞を採取して検査が必要だった。今後は、転移がんも含め、がん患者の体を傷つけずに適切な治療薬を選べるようになるように、他の抗がん剤でも効用研究が進められる。

2012年6月5日火曜日

余命延長に効果的な肺がん新薬

肺がん治療の抗がん剤新薬として開発中の「アファチニブ」臨床試験において、良好な治療効果を発揮した。標準化学療法(ペメトレキセド/シスプラチン)を受けた肺がん患者では半年を超える程度であった無増悪生存期間(がんの悪化が抑えられる期間)が、新薬アファチニブ投与患者では13.6カ月に延長された。

つまり、半年以上のがん抑制効果が得られたことを意味する。

特にEGFR(ErbB1)遺伝子に変異を有する肺がん患者に対する治療効果が顕著であったことが報告されている。

アファチニブによる肺がん治療は、がんが進行するまでの期間が延長されることによって、日常生活を制限する肺がんの諸症状についても、良好にコントロールすることができる。また、新薬アファチニブの効能は、呼吸困難(息切れ)、咳嗽、胸痛などの症状の改善も多く観察され、これらの肺がん症状の発現を遅らせるという効能も期待される。

今後はさらに治験が進められ、安全性の確認がなされる。

2012年6月1日金曜日

末期腎臓がん に効果ある抗がん剤新薬を承認

腎細胞がん治療用の抗がん剤新薬を厚生労働省が5月31日に承認した。

新薬承認された抗がん剤は、インライタ錠1mg、同5mg(一般名:アキシチニブ、販売:ファイザー)。

効能・効果のある治療対象のがんは「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」とされている。アキシチニブは、腫瘍の増殖などに関与していると考えられる血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体1、2、3を選択的に阻害し、がん細胞の増殖を抑える効果があるとされている。治験では一次治療の抗がん剤に抵抗を示したがん患者に対して有効性、安全性が検証され、効果が確認された。

その腎細胞がん治療薬としては、経口のスーテントカプセルを販売し、mTOR阻害剤トーリセルもファイザーが販売している。

肝臓がんと肝炎ウィルス

肝臓の病気で一番やっかいな肝がん。

肝臓がんは原発性と転移性に分けられる。

転移性肝がんは、他の内臓にできたがん細胞が血液の流れに乗って肝臓に漂着し、そこで根を張り大きくなったがん。肝臓には胃、小腸、大腸、膵臓、脾臓(ひぞう)から血液が流れ込む門脈という血管があるので、消化器のがんが転移しやすいのだ。

肝臓にまでがんが転移してしまったがん患者は、原発である臓器のがんの進行度は末期がんであるステージ4に分類される。

原発性肝臓がんは肝臓自身の細胞から発生したがん

さらに詳細な分類として、肝臓の働きを担っている肝細胞から発生する肝細胞がんと、胆汁の通る管を作っている胆管細胞から発生する胆管細胞がんに分けられる。

肝臓がんの大部分の患者は肝細胞がんであり、通常「肝がん」というと肝細胞がんのことを指す。

日本人で肝臓がんのがん死亡率に占める割合は、男性では肺、胃、大腸に次いで4位、女性では大腸、乳腺、肺、胃、膵臓に次いで6位を占めます。肝臓がんは日本人に頻度の高いがんだと言えるだろう。

ところで肝臓がんは、健康な肝臓からはほとんど発生しない。肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変などの肝疾患が悪化した結果として発症することが多いのだ。肝臓がんの原因となっている肝疾患は、ある統計ではB型肝炎が27%、C型肝炎が56%と、B、C型肝炎で83%に及ぶ。また、他の肝臓がんの原因としては、アルコール、非アルコール性脂肪性肝炎も影響が大きい。

なお、肝炎ウイルスと肝がんは非常に強い関連があり、B型またはC型の肝炎ウイルスキャリアの発がん率は、肝炎ウイルスを持たない人の100倍超とされている。肝炎ウィルスに対しては、インターフェロンやベータグルカンなどで事前の対策を怠らないことで肝臓がんが予防される。