2012年8月3日金曜日

プラチナ製剤新薬はがん治療効果が40倍

既存の抗がん剤に比べて4倍から40倍の強さでがん細胞に働く新薬が実証された。

抗がん剤新薬「Phenanthriplatin」は、 60種類のがんに対して実証実験がなされ、効果が確認れたのだ。

実験を実施したのは、米国 マサチューセッツ工科大学。抗がん剤「Phenanthriplatin」は、プラチナをベースにした新薬だ。

プラチナをベースにした抗がん剤は、プラチナ製剤と呼ばれ、遺伝子DNAに直接作用するためとても強力な抗がん剤として幅広く使われている。プラチナ製剤として実用化されている抗がん剤としては、シスプラチンが最も有名だ。シスプラチンは、米国・カナダで1978年に承認されて以降、1983年にも日本で承認、プラチナを利用した抗がん剤化学療法として最もよく使用されてきた抗がん剤だ。シスプラチンは、精巣腫瘍に最も効果があるとされているが、それ以外にも、リンパ腫、卵巣がんや肺がん胃がん、食道がん、膀胱がん、前立腺がんなど多くのがんの治療にも用いられている。

今回開発された新薬「Phenanthriplatin」が、既存のシスプラチンよりも効果が高い理由は、シスプラチンよりもがん細胞内に入り易いことに加え、がん細胞がDNAからRNAに転換する遺伝子発現を抑制する効能があるからだ。

また、シスプラチンには、多くの抗がん剤に発生する副作用である骨髄抑制(血球や血小板の生産不良)はそれほど強く発現しないが、中毒性副作用で腎臓が損傷するリスクや、使用を続けることで腫瘍が薬に対して抵抗力をもってしまうという弊害があった。

新薬「Phenanthriplatin」は、これらの問題点が改善されている見通しだ。

つまり「Phenanthriplatin」は、現在に抗がん剤として一般的に使われているプラチナ製剤のシスプラチンを代替し、より効果的にがん細胞を攻撃し、副作用の軽減された新薬となる可能性が高い。さらに、同じプラチナをベースにした抗がん剤を投与しつづけることで腫瘍が薬に抵抗力をもってしまうことを防げぐ効能も期待されている。