2012年3月22日木曜日

末期大腸がんの余命を4倍に

分子標的抗がん剤が皮膚障害 「3者併用」で激減

がん細胞だけに作用するとの触れ込みで期待の大きかった分子標的薬に分類される新タイプの抗がん剤だが、がん治療に用いた分子標的薬の副作用の中でも皮膚障害が大きな問題になっている。
使用開始時からの予防的治療の必要性を訴えた。

分子標的薬は、がん細胞特有の分子を攻撃する狙いだが、現在承認されているものは未完成で、皮膚などの正常細胞をも障害する。

例えば、大腸がんで用いられる分子標的薬 セツキシマブとパニツムマブの場合。分子標的薬 セツキシマブとパニツムマブはがん細胞に過剰に出ているEGFR(上皮細胞増殖因子受容体)分子を攻撃して、がん細胞の増殖を抑える。効果があった場合には、手術不能の再発大腸がん、いわゆる末期がんの生存期間を平均6カ月から約2年と4倍にまで延長できる。しかし、かなりの高率で、顔などに酷いニキビ状の皮疹、指の亀裂、爪周囲の炎症などの副作用が発生する。これは、これらの抗がん剤が、皮膚や毛、爪の増殖や分化も抑制することが原因だ。

まず第一に、分子標的薬には「効かない患者がいる」。セツキシマブとパニツムマブに関しては、約4割が効かない患者なので、処方は時間と体力と費用の無駄だ。これは、事前の遺伝子検査で確認できる。 そのうえで適性が確認できた後に投与するのだが、投与初日から抗生物質「ミノマイシン」を飲み、保湿剤およびステロイドの塗り薬を利用することで、皮膚の状態は改善できるのだ。この皮膚障害の予防対策は、知らない開業医が多いので留意する必要がある。抗菌剤の塗り薬なででの対処では、効果が薄いのだ。

がん治療による副作用対策は、皮膚科医でも知見が深いとは限らない。患者でもがんに関する知識を深め、主治医および関連医師と協力することが不可欠だ。